救急車をタクシー代わりに使っている人もいるというニュース
これ読んで思い出したのがかれこれ20年近く前の大学病院勤務時代のこと。私が勤務していたのは歯科大学附属病院で、医科系の診療科はありませんでした。なので救急車とはほとんど縁がありません。あっても外傷ですね、しかも口腔領域に限局した外傷に限られます。
例えば交通事故で怪我をして、歯が折れていたとしても普通は歯科病院ではなくて医科系の大学病院に搬送するでしょう。一見元気そうに見えても打ち所が悪くて頭を打っているかもしれないわけで。そんなわけで歯科病院に救急車で搬送されてくるのは「ボールが口に当たって歯が抜けてしまった高校球児」とか、明らかに因果関係がはっきりしている患者さんだけなのです。しかも搬送先は口腔外科ですから矯正科に勤務していた私は救急車とは全く無縁な存在でした。
ところがある日、矯正科に「救急車で患者さんが搬送されてきた」ときて、のんびりコーヒー飲みながらTV見ていた医局が騒然となります。「なんだなんだ?」「矯正科に救急車で搬送?意味が解らん」とかなんとか。私の担当患者ではなかったのですが、患者さんの訴えは「ワイヤーが後ろから伸びてきて痛い」ということでした。びっくりしたと言うか、寧ろ「こんな利用方法もありなんか!!」と驚きを通り越して畏敬の念すら抱いてしまった。
まあ、矯正治療中にワイヤーが後ろから伸びてくるのは自然というか、そうでなければ治らないものでもあるのですが。。。しかし、搬送する側もちょっとは考えた方が良いと思いましたね、だって「**病院の矯正科に搬送してくれ」ってことですよ。行先まで指定してるんだから完全なタクシーですよ、確信犯。住民の要請には100%応じないといけないという決まりでもあるんでしょうか??