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インターネットがかえって患者様を混乱させていないかしら??

昨今のインターネット上での情報公開というのは凄まじい。世界中の情報が瞬時に各国に広がってしまう。
雑誌や新聞のように校閲者がいるわけではないから誤った情報だろうとなんだろうとお構いなし。そういう意味でネット社会というのは読み手の分析、判断能力が強く要求される。逆に言えば、そういった判断能力を持ち合わせていなければむしろTVなどから情報収集したほうが安全ともいえる。バイアスはかかっているけどね。

矯正歯科の世界もしかり。最近気になるのが、装置の名称を宣伝している矯正歯科が多いこと。例えば・・・
デーモンシステム、クリアブラケット、クリアティー、インスパイア、インビュー、クリスタライン、などなど。
本来、これらは全て”唇側矯正装置”の種類に過ぎない。

これって、野球に例えていうとですよ、ミズノのバット、ゼットのバット、ローリングスのバットとかいうレベルの話なのです。
デーモンはオームコ社の製品、クリアブラケットはデンツプライサンキン社、クリアィーは3Mユニテク社、という具合です。
要するに「当院はデーモンシステムを使っています!!」っていうのはイチローが「僕はミズノのバット使ってます!!」っていうのと大した違いはないってことなのです。

上に挙げた装置のうち、構造的にデーモンのみチョット異質ですけど、これにしたって別に新しい装置でもなんでもないんです。基本的な構造は10年以上前からスピードブラケットっていう装置としてあって、それと一緒。何故だか知らないけれど最近になってまた復活してきた、笑)
同じように復活組として代表的なのは下顎前突を治療するための”ムーシールド”という装置。こんなの基本的な考え方は数十年も以前のもの。
別に、デーモンやムーシールドが悪いなんて言ってないですよ、実際僕も使っていますし、悪いわけがないんですけど、最新とか言われると、「えっ??」って感じがしてしまいます。デーモンやムーシールドに共通しているのは、

1・基本的なメカニズムや、装置はかなり以前からあったもので目新しくもなんともない
2・矯正材料メーカー側が細部を変更して、新商品として売り出す
3・矯正治療の歴史を勉強していない若い矯正歯科医が飛びつく
4・矯正材料メーカーが”売れる商品”として販売に力を入れる
4・最新式の矯正装置!として各歯科医院のHPで取り上げられる
5・患者様が最新式と思い込んでしまい、それらの装置で治療している歯科医院を血眼になって探す・・・

こんな図式が最近、特に顕著だと思います。

ま、長いものにはとりあえず巻かれとけ!!ってのが僕の信条なんで(笑)デーモンにしろムーシールドにしろ、使ってはいます。特段デーモンやムーシールドである必要はないと思うのですが、患者様から装置の指名があればそれに応じているといったところです。
それに、患者様が「この装置は効く!!」と思っている装置で治療するのはとても重要なことです。装置使用のモチベーションが変わってきますから(こういうのをプラセボ効果といいます)。

唇側矯正か、舌側矯正か、は大きな違いですけど、その先の、どの装置を使っているか??というのは大した問題じゃないんです。先生の好みとかいう次元の話。一種類でも構わないし、全種類扱っていたところでその先生が優れているわけでもなんでもない。
僕ですか??当然、全種類扱いますよ(笑)だって、こういうご時勢ですし、プラセボ効果も無視はできませんからね。

*ちなみに当院で主に使っている唇側矯正装置は3Mのクリアティーとサンキンのクリアブラケットです。共にメタルスロットがあって、審美ブラケットでありながら摩擦抵抗が少なく歯の移動がスムーズだからです。デメリットはメタルスロットがある分、審美ブラケットでありながら審美性に若干劣る(なんのこっちゃ、笑)ところでしょうか。より審美性を重視するならインビューやインスパイアのほうが良いでしょうね。いずれにしても、患者様がクリニックを選択する際に重要視するような基準ではないと思いますよ。ネットで”私にはこの装置しかない!!”と感じたならば、そう担当の先生に伝えると良いでしょう。余程がんこな先生でもない限り、希望の装置で治療してくれると思います。
飯能 秩父 三芳 歯列矯正