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「刀伊入寇 藤原隆家の闘い」  葉室麟 著

タイトル通り平安時代の貴族、藤原隆家(979~1044)が主人公。

「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」という羨ましいクソ生意気な歌で有名な藤原道長さんとライバル関係にあった人。
史実では道長との政争に敗れるまでは中央で活躍した隆家ですが、政争に敗れて左遷されてしまいます(直ぐに戻ってきますが重要なポジションにはつけなかったようです)。また、紫式部や清少納言なども同時期に宮中で活躍していて、道長に近いのが紫式部、隆家に近いのが清少納言なので隆家は枕草子に頻繁に登場するそうです。道長は光源氏のモデルともいわれています。

時代背景や人間関係をよく知らないために難解でした。この時代、中央政界を牛耳っていたのが藤原一族であったため、登場人物の多くが「藤原さん」。これは非常に混乱します。
挙げてみると主人公藤原隆家の兄貴が藤原伊周、親父が関白藤原道隆、爺さんが関白藤原兼家、曾祖父が藤原師輔、師輔の親父の藤原忠平。道隆の次に関白になったのが道隆の弟である藤原道兼。道兼が7日関白で亡くなってしまい、次に関白になったのが伊周、隆家兄弟の政敵でもあり道隆の弟でもある藤原道長。道長の息子藤原頼通。他にも兼家の兄貴藤原伊尹、藤原実資、藤原道綱、藤原明範、藤原助高、藤原友近など。
藤原氏だけでも前後関係を完全に見失いますが、武家の登場人物もこの時代の武家の性は「平」「源」のどちらかが多かったようで、さらに混乱を来します。

葉室氏らしくお堅い文章。中盤中だるみで読むのを止めようかとも思いましたが読み進めてみたら最後の方は盛り上がって良かった。
この本、最初に関連地図が掲載されているのですが、まったく役に立たないというか意味がない。理解を助けるなら関連地図ではなく、藤原氏の家系図を載せたほうがいいかな。

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written by 所沢市 清瀬市 東村山市近くのアクイユ矯正歯科クリニック