世界の資格
敷金鑑定士~世界の資格③~
それにしても世の中には色々な資格があるものだ。この敷金鑑定士は日本敷金鑑定士協会が認定する民間資格です。一般的に賃貸物件は大家~不動産屋~借主という関係で成り立っていますが、敷金鑑定士は借主側の権利を主張する立場のようです。
簡単に言うと、借主が返還されるべき敷金の金額を敷金の本来の目的である「原状回復」という観点から評価するのが主な職務です。
退去時に敷金がどれだけ戻ってくるか?というのは金額的にも大きいだけにとても重要なことなのですが一般的には不動産屋さんが送ってくる明細を見て「高いな・・・」と感じつつも何も言えないというのがほとんどだと思います。
そんなときに頼りになりそうなのがこの敷金鑑定士です。法的拘束力は無いようですが敷金返還額鑑定書なるものを発行してくれます(日本敷金鑑定士協会名義)。作製の費用は入居時の敷金の金額により異なりますが12000円からと良心的です。
それでは受験内容をチェックしてみましょう(ホームページより抜粋転記)
受験資格
この試験は,年齢,性別,学歴等に関係なく,誰でも受験できます。
試験内容
民法・訴訟法・借地借家法・消費者契約法・宅地建物取引業法・建物の区分所有に関する法律・裁判手続き・過去の敷金返還請求事件に関する事項等から全4回の答練問題を実施し、その後、最終試験を実施します。
試験方法
答練問題・最終試験は通信教育で実施しますのでご自分のペースで受講して下さい。何日以内に資格を取らなければいけないとする制約はありません。最終試験に失敗しても追加で最終試験を何回でも受けられその試験料は無料です。最終試験に合格すると敷金鑑定士名簿に登録し合格証書を交付します。早いかたですと1ヶ月程度で敷金鑑定士として登録されています。
受験料
38,500円(税込み・テキスト・答練・最終問題・受講者への送料含む)
合格率
95%
これは間違いなくお得な資格だと思います。38,500円で一生役に立ちますし、2回くらい引越しをすれば簡単に元はとれそうです。僕自身、不動産屋さんに掛け合ったら当初の敷金返還額が2倍になった経験もありますのでこれは贔屓目抜きにお得な資格だと感じました。
勝手に評価(5段階)
~敷金鑑定士~
取得難易度 :**
お得度 :*****
就職役立度 :***
羨望度 :*
寸評
繰り返しになるがお得な資格である。通信で受験可能、38500円、合格率95%、不動産業界への就職にもそれなりに有利に働くだろう。人脈があれば独立開業も可能だ。
仕事で使わなくとも自身の敷金返還問題だけでも元は取れそうだし、家族親戚友人を含めればなおさらだ。こんな資格があったとは・・・
興味のある方はこちら⇒日本敷金鑑定士協会
ベジタブル&フルーツマイスター~世界の資格②~
この資格は日本ベジタブル&フルーツマイスター協会が認定する資格です。この前のきのこアドバイザーは日本特用林産振興会という団体が認定する資格で半民半官といった雰囲気ですが、この日本ベジタブル&フルーツマイスター協会というのは完全な民間企業のようです。
ベジタブル&フルーツマイスターにはジュニアマイスター、マイスター、シニアマイスターというランク付けがあります。マイスター以上の資格を取得すると”野菜ソムリエ”といえるそうです。もちろんやるからには野菜ソムリエの称号を目指すわけですがともかくは初級レベルのジュニアマイスターから始めなければお話になりません。
ジュニアマイスターの資格を取るにはコースを受講する必要があります。1回2時間の講義を7回受講し、筆記試験にパスすることで晴れてジュニア・ベジタブル&フルーツマイスターの資格が取得できます。
例によってザザーッと受験条件を見てみると、まず目に付くのが受講料の高さです。受講費用:13万3350円とあります。2時間の講義×7回+筆記試験で13万円超というのは少々高すぎるのではないか??という気がします。
今はもう少し高いでしょうが、僕の大学時代の授業料は半年で16万9800円でした。大学の授業料と比べても意味が無いという向きもあるでしょうから前回のきのこアドバイザーと比較してみます。
きのこアドバイザーは一週間泊り込みで、講義から国有林での実習までのカリキュラムを組んでいますが、こちらの受講料は1週間で2万5千円です。
いや、待てよ・・・、受講料というのはトドのつまり人件費。大学や予備校の授業のように1人の講師が多数の生徒を同時に教育できる場合は生徒1人頭の受講料は安くなるし、実技科目で1人の講師が少数の生徒しか教育できない場合は高くなるものだ。だとすれば講義内容を見なければ高いか安いか判断は出来ないな・・・。
そう思っていろいろ調べていたら・・・
通信講座(DVD)有り:受講料13万3350円・・・
この団体の意図が僕にはハッキリと見えました。これ以上は言いませんけど。
カリキュラムの中身を覗いてみると・・・
一回目の講義は”ベジフルコミュニケーション”という授業のようです。
ベジフルコミュニケーションの講義内容(ホームページより転記)
《マイスターには青果物の知識だけではなく、知識を相手にわかりやすく伝えるためのコミュニケーション力も求められます。そのためには対人コミュニケーションのみならず、日頃から青果物に接する中で(=青果物とのコミュニケーションの中で)感じた感動を自分の言葉で表現する力が必要になります。この講座では上記の2つのコミュニケーション力とともに、青果物から得られる新しい発見に感動する力、そしてその感動を表現する力を養います》
これが2時間の講義内容のようです。たった2時間でお野菜と感動的なコミュニケーションをして、素敵な言葉で表現できるようにならなければなりません。僕には至難の業といえましょう。その前に当院のスタッフと潤滑なコミュニケーションをとれるようにならなければなりません。
その後、ベジフル入門(野菜や果物の品定め)、ベジフルサイエンス(野菜と健康の関係)と講義があり、最終回はベジフルクッカリーという講義です。
ベジフルクッカリーの講義内容(ホームページより転記)
《野菜料理のレパートリーを増やすためのスキルアップを目指します。野菜料理を作る楽しさを再確認し、品種や作型などの違いに対応した料理コーディネーション能力習得を目指します》
これまたたった2時間で野菜料理の技術を向上させるという無理難題を受講生に投げかけます。初心者ならジャガイモの皮を剥いている間に2時間が過ぎてしまいそうです。
なんだか随分とテキトウな資格であることが大体分かってきました。これは日本ベジタブル&フルーツマイスター協会を運営するための資格のようです。受講生のための資格ではありません。受講料は日本ベジタブル&フルーツマイスター協会に対するお布施のようなものといっても過言ではないでしょう。次の修了規定にその精神を読み取ることが出来ます。
修了規定(ホームページより転記)
1・講義全7回中4回以上出席していただくこと。(4回欠席すると修了試験を受けていただくことができません。)
2・課題を提出していただくこと。
3・修了試験に合格していただくこと。
さて、まず気になるのが言葉遣いです。すべての項目で”いただく”とあります。普通は”すること”です。これが教育に重点をおいた資格なら
1・全ての講義に出席すること。病気等、特別の事情で出席できない場合にはその旨申し出ること。
2・教官に与えられた課題を提出すること
3・修了試験に合格すること
となるはずです。試験する側が受ける側に媚びている試験など聞いたことがありません。
さらに出席回数が7回中4回でOKというのは一般的には考えられない世界です。言葉尻を汲み取ると「授業料をいただいちゃったからには資格をあげないわけにもいかないんです。乱発したところでフグの調理師免許と違って他人に迷惑をかけることもないし、どうせ参加賞に毛が生えた程度の資格なんだから、お願いだから出席して、ちゃんと勉強して受かってください」ということなのでしょう。
勝手に評価
取得難易度:*
日常生活役立度:***
お洒落度:****
お布施度:*****
寸評
国家資格でもなく、資格を持っていたからといって就職の役に立つというわけでも無さそうです。あくまで趣味の資格といえます。この資格を取得して有効に活用するのは一般的には難しいと思われますが、容姿端麗な女性が取得した場合には絶大なる付加価値を生み出す可能性があります。その点、博打的性格を帯びた山師好みの資格といえるでしょう。
また、地味な活用法として、女性や子供に理解しやすい資格を取得することで父親の威厳を取り戻したいお父さんにもお勧めです。
興味のある方はこちら⇒日本ベジタブル&フルーツマイスター協会
(MSゴシック#10)
きのこアドバイザー~世界の資格①~
世界の資格なんて大げさなタイトルをつけてみましたが、どちらかというと普通の人が気にもとめない世界の死角という意味で用いています。
きのこアドバイザー、このとってもマニアックな資格の存在を知ったのは歯科材料の大手、株式会社ジーシーの方と食事をしていたときです。僕は以前のエントリーでも触れたとおり、椎茸にはちょっとうるさい。ちょっとしか知らないことをさも全てを知り尽くしたように表現してしまうのは悪い癖だが知らぬ人が聞いている限りにおいてはばれやしないから良いのだ。要は深入りしないことだ。ぼろが出るから。ところがこのジーシーのS君がすっごいマニアだった。まさか椎茸の話で食いついてくる人がいるとは思っていなかったのだけれど、とにかくS君は博識で、椎茸含め、きのこ類にやたらと詳しい。聞けば大学ではその方面のことが専門だったということ。「なるほどね・・・」と合点がいった。その時、S君が「きのこアドバイザーという資格があるから一緒に取りましょう!」と言ってきた。もちろん、お酒の席であるし冗談半分に聞いていたのだけれど、義理堅いS君は後日ご丁寧にも”きのこアドバイザー”についての詳細を郵送してくれたのだ(S君、ありがとう)
なんとなく簡単に取得できそうなネーミングでもあるし、自己紹介に「職業:歯科医師、およびきのこアドバイザー」なんて書くのもお洒落な感じで良いかなと思ってちらちらと受験要綱を見ていたら・・・どうやら片手間で取れるような資格ではないようです。年に1回しか開催されない研修に、1週間連続で参加しなければならない(場所はつくば市、泊り込み)。これは、仕事をしている人にとっては事実上参加不可能な条件ですからその時点で受験は諦めたのですが、応募資格の項目が面白い。色々ありますが、禁固刑以上の刑に処せられて2年を経過していない者は応募できません、とかいう項目もありますので要は
応募資格・・・(1)きのこについて一定の知識があると認められる方、その所属の長またはきのこ同好会会長などの推薦を受けた方
という部分が重要です。一見怯みますが、よくよく考えるといちいち規定するまでもない応募資格であることがわかります。まず、一定の知識とはどの程度の知識なのかについて一切触れられていません。椎茸と松茸を目で見て区別できる程度で良いのか、永谷園と丸美屋の松茸のお吸い物を目隠しして区別しなければいけない程度なのか??といったことには一切触れられていません。要するに、どうでもよいことがわかります。
また、その所属の長、というのも曖昧極まりない表現です。”その”というのはおそらく”その者の所属する組織の長”という意味でしょうからきのこ関連の組織である必要は明記されていません。これまた今現在の職種は問わないという意味であり、どうでもよい文言といえます。
極めつけはきのこ同好会会長”など”の推薦、という部分です。きのこ同好会でもきのこ愛好会でもたけのこ倶楽部でもなんでもいいし、推薦者は会長である必要もないということです。
「誰でもOKということを回りくどく説明するとこうなるのか」と、やたらと感心しました。
勝手に評価(5段階評価)
~きのこアドバイザー~
取得難易度:****
日常生活役立度:*
注目度:*
マニアック度:*****
寸評
おそらく取得しても普通の人には何の役にも立たない。むしろウンチクくさくなって煙たがれるのが関の山だろう。勉強中に毒キノコにあたって命を落とす危険性を考えれば一般人にとってはまったくもって無用な資格である。取得によって毒キノコの判別くらいはできるようになるだろうから山で遭難したときには役に立つかもしれない。ただし、キノコにはほとんどカロリーが無いことをお忘れなき用に。
きのこアドバイザー
『きのこアドバイザー』とは、きのこ類に関心のある一般の人々に対して、天然きのこ及び栽培きのこに関する知識・情報を伝え、森林・自然ときのこ類のかかわりや健康に良い食材、食品としての利用などについて指導・助言を行う専門家です。『きのこアドバイザー』となるには、本会に設けられたきのこアドバイザー研修・登録委員会により研修生として選考された後、養成研修を受講し、『きのこアドバイザー』として登録されることが必要です。
この『きのこアドバイザー』の養成・登録は、本会が平成9年度から林野庁の助成により行っているもので、これまでに200名余のアドバイザーが誕生し、全国各地でいろいろの場面で活躍しています。